呼吸が浅いと感じている
理由①⇒骨盤前傾(偽ヒップアップ、反り腰)の癖があるとまずい理由①お腹が出る
理由②③④⇒骨盤前傾(偽ヒップアップ、反り腰)の癖があるとまずい理由②腰痛③疲労骨折④圧迫骨折
理由⑤⇒骨盤前傾(偽ヒップアップ、反り腰)の癖があるとまずい理由⑤首のしわ=背骨が伸ばせない
呼吸には2種類ある
「呼吸が浅い」と感じている人に骨盤前傾は多いです。
前回説明したように腰椎の前弯は同時に背中の後弯(丸み)を引き起こします。
すると肩を内側に丸め込む姿勢(肩の内旋)をとることになり、結果胸郭を拡げることができません。
ということは呼吸が浅くなります。
外呼吸と内呼吸
呼吸とは生物が生命維持に必要なエネルギーを得るために、酸素を取り入れて養分を分解し、その際に生じた二酸化炭素を排出する現象です。
体外とガス交換を行うのが「外呼吸」で
外呼吸により運ばれた酸素による細胞内でのガス交換は「内呼吸(細胞呼吸)」です。
なんだか難しいので、図にしてみました。
どちらも正しくできて、我々は生命を保つことができます。酸素は生きるためのエネルギーの素です。
コロナ禍においてもこの「肺の機能」というものがとても気になるところなのではないでしょうか。
1回の呼吸で肺に入る空気の量
「呼吸が浅いんです・・・」
これは言い換えると
「吸うための筋肉と吐くための筋肉が弱いんです・・・」
ということになります。
安静時に(ふつうに静かにしている時に)いったい自分のからだにどれぐらいの空気が出入りしているのでしょう。
答えは
1回の吸気量は450ml~500mlだそうです。
死腔(しくう)の存在
ところがそのうちの150mlが気道にとどまってしまいます。
ここにある空気はガス交換には使われず、吐く(呼気)時にいっしょに体外に出されます。
よって「死腔(しくう)」と呼ばれます。
簡単な図にしてみました。
浅い呼吸だとエネルギーを生み出せない
浅い呼吸で、250mlしか吸ってないとすると
250-150=100
100mlしか肺には入らないということになります。生きていくためのエネルギー量も減ってしまうのです。
呼吸が浅いと感じている人を診ていると
・力が出ない
・声が小さい
・声が出にくい
・気力が出にくい
・血の巡りが悪い
・冷えている
・バネのある動きが苦手
といったように体全体から発するエネルギーが弱めに感じられます。
酸素を行き渡らせるためには鉄分が必要
酸素を体中に行き渡らせるためには「鉄分」が必要です。
食事の中に鉄分が必要なわけ
赤血球の成分の約99%はタンパク質と鉄を材料とするヘモグロビンです。
ヘモグロビン内の鉄は酸素を運ぶだけでなく、酸素を使ったエネルギー代謝サイクルにも働いています。
また呼吸やDNAの合成・修復、薬物や異物等の代謝など、細胞内でのエネルギー代謝にも関係しています。
鉄分を含む食材
・レバー
・いわし
・マグロ
・牡蠣
・あさり
・小松菜
意識して摂取しないと鉄分は不足しがちです。
女性は特に生理があるので鉄分の補給は必須です。
・ミロ
なども鉄分補給に人気があります。
正しい腹式呼吸を知る
腹筋の使い方を習得してもらうために呼吸の仕方をチェックしています。
すると胸を全く動かさずに、お腹だけで呼吸をしている人がいます。
これは正しい呼吸ではありません。
胸がまったく動かないということは
肺が膨らんでいないということになります。
そして肋骨周りにある筋肉がガチガチに硬くなっているということでもあるのです。
正しい呼吸での胸の動きを図にしてみました。
息を吸う(吸気)時は胸郭が拡がる
息を吸う時に胸郭(きょうかく)が前後に拡がります。
空気は肺に入るのですから肺が大きくなるためには胸郭は拡がる必要があります。
この時に同時にお腹が出てもいいのです。
胸郭が広げられるかということがまず大事です。
胸郭とは 胸椎 (きょうつい) ・肋骨 (ろっこつ) および胸骨で囲われた部分を胸郭といいます。
胸郭が拡がらないで肩を上げるような呼吸の仕方は間違いです。
横隔膜を意識した正しい腹式呼吸であるなら同時に胸郭も拡がっているはずです。
肺には筋肉がないので、自ら膨らんだり縮んだりすることはできません。(弾性収縮力と言って自然に元の大きさに戻る収縮というものはあります)
だから筋肉の力が必要というわけです。
心臓には心筋があります。
心筋には2種類あって
・固有心筋
・特殊心筋
(洞房結節=キース・フラック結節)
これら2つで自動的に規則正しい間隔で電気信号を発信して拍動をつくりだしています。
肺に肺筋はありません。
実は「吐き切る力」があると「吸う力」も強くなります。
忘れがちな広背筋
息を吐く力に通じる広背筋
咳をする時に骨盤はどうなっていますか?
の風邪を引いた後にお腹の筋肉が痛くなっていることがありませんか?
咳をする姿勢を考えてみると、
お腹を凹ませ、背中を丸め、お尻を下げて(骨盤後傾)、コンコンコン。
この動作は、お腹の筋肉とともに背中にある大きな「広背筋」をとてもよく使うのです。
だから広背筋は別名「咳(せき)の筋」とも呼ばれます。
息を吐く力に通じる筋肉なのです。
安静時の呼気(吐く息)では感じませんが、お腹を凹ませて、絞り出すように息を吐くという動作をしてもらうと背中を丸く伸びるようにして力が入るのが分かると思います。
イラストをよく見るとこの筋肉は腕にねじれて付いているのが分かると思います。
猫背だったり
首が前に倒れていたり
肩がずっと内旋している姿勢
のままでいると
広背筋の収縮の力が働かなくなります。
そうなると
胸が開かない
胸が前に出ない
ということになり「吸う力」に影響が出るわけです。
広背筋をうまく使うには骨盤後傾
腕が頭上に上がらないというのもなにも肩関節周辺の問題だけではありません。
広背筋は腕に付いているので、その収縮させる力で腕を上げるということ行っているため、この広背筋の弱化で腕が上がらないということがよくあります。
広背筋の動きを邪魔をしているのが
・腰椎の前弯
・骨盤の前傾
です。
お腹を凹まして力強く息を吐く
この動きには骨盤後傾が伴います。
腹式呼吸の例
一度の吸気量でどれだけ長く発声できるか。
そこに本来の腹式呼吸が使われていると思います。
お腹を凹まして力強く息を吐く
このお手本のような動画をご紹介します。
アイナ・ジ・エンド「オーケストラ」/THE FIRST TAKE
4分40秒当たりと5分08秒あたりの「お腹の使い方」がとても参考になります。
呼吸の練習で寝てしまった患者さん
胸で吸ってお腹を凹ませて吐く
これを何度もやっていただくのですが、
こういう方がいらっしゃいました。
胸いっぱいに息を吸った時にお腹を凹ます力が出て吐く時にお腹を凹ませられない。
何度もやっていると自律神経が整って気持ち良くなったのでしょうか。お名前を呼んでも反応がなくて私も一瞬焦ったのですが、眠ってらっしゃいました。
これからは毎晩寝る前にやる!とのことでした。
詳しいことを知りたい方へ
過呼吸(過換気症候群)について
「過呼吸(過換気症候群)」という症状の時にも「吐く」ということを覚えておくと対処できます。
突然の過呼吸は、
・心理的なストレス
・不安や緊張
・興奮
・恐怖心
・肉体的な疲労
などから呼吸数が増加し、そうすると血液中の酸素濃度が上がり、逆に二酸化炭素の量が少なくなって血液がアルカリ状態になることから呼吸困難になります。
対処法
①1,2と心の中で数えながら息を吸い、お腹を膨らませる
②3,4,5,6,と心の中で数えながら口をすぼめるようにしてゆったり息を吐き、お腹を凹ませる
うつぶせに寝たり、座って体育すわりのように前かがみになったりすると呼吸がしやすくなります。
最近体育すわりで腰を痛める子供たちが多くいて、廃止の傾向があります。
体育すわりは骨盤後傾の状態です。
骨盤を後傾させるのが苦手な子が増えてきているわけですね。腰を反らしたままの体育すわりは辛いです。
腹筋も弱くなってきているのではないでしょうか。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、
慢性気管支炎
肺気腫
と呼んでいた病気を一つにまとめたものです。
この病気の方たちは一気に吐く息のスピードが健康な人よりも遅いので、ろうそくの火を吹き消すのが難しいです。
「吐く力」と骨盤後傾
がリンクしていることを理解すれば
このような病気にかからないためにもお腹を凹ませられるようにしておくといいと思います。
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